瀬戸内ジャムズガーデンと実践する『里山マーケティング』
20年4月20日は、私にとってとても特別な日となりました。この日、『進化する里山資本主義』がいよいよ発売されました!
このエントリーでは、「進化する里山資本主義」でも紹介して頂いた、私と瀬戸内ジャムズガーデンの店主松嶋さんとで共に歩んだ1年半を振り返り、私が周防大島と瀬戸内ジャムズガーデンから学び、開発した「里山マーケティング」をご紹介したいと思います。
瀬戸内ジャムズガーデンと出会い共に歩むということ。
私がジャムズガーデンの店主松嶋さんと出会ったのは、2018年。その時の私は、東京在住のフツーのサラリーマンでした。
ですので、基本的には東京の自宅から遠隔で周防大島の瀬戸内ジャムズガーデンのお仕事をしています。電話・メッセージ・オンライン会議などなど、用件により様々な手法で意思疎通を図っています。
WEBマーケティングの領域を中心にお仕事をさせて頂いていますが、店主の松嶋さんと私の日々の取り組みや関係性がよくわかるインタビュー記事がありますので、是非参考にされてください。
2019年にフリーランスパートナーシップアワードを受賞した際のインタビューです。記事はコチラ。
『里山マーケティング』という新しいマーケティングのアプローチ
この歩みの中で、「里山マーケティング」とも言うべき、新たなアプローチをいくつか試すこととなりました。
これは、周防大島の地域の価値を日本中の方々に伝えて、ビジネスにつなげていく新たな試みです。まだまだ試行錯誤を続けていますが、これまでに学んだことの一端をご紹介します。
・地域を知り、事業を知り、人を知り、想いを共有するマーケティング
瀬戸内ジャムズガーデンのマーケティングを進めるにあたり、私には一つの仮説がありました。それは、
『マーケターである前に、ジャムズガーデンのチームの一員になるべきである。
そして、誰よりもジャムズガーデンの価値を理解すべきである』
結果的にこの仮説は正しかったと信じています。
ホームページを作る、Instagramのアカウントを始める、メルマガを配信する、これらのことは部外者でも可能です。多くのマーケティング支援会社(制作会社など)もサービスを提供しています。ただ残念なのが、
「形は作るので、文章と写真をください」といった、箱は作るけど魂込めず・・といったお仕事をされているケースが多いことです。
いわずもがな、大事なことは「何を書くか」「何を言うか」「何を見せるか」といった魂である中身です。
つまり戦略、と言っても良いかもしれません。
店主の松嶋さんには、直接には関係ないことをたくさん質問し多くのことを教えて頂きました。周防大島のこと、人口減少のこと、事業を行う上での苦労、果物のこと、近くの浜で釣れるイカのこと・・
一見、無駄なやりとりにも感じるこのコミュニケーションが、周防大島と瀬戸内ジャムズガーデンへの理解を深めることにつながります。
結果、マーケティングにあたり「何を書くべきか」「何を見せるべきか」「タイミングはいつなのか」をクリアにしてくれます。
大都市圏に本社のある一般消費財を扱うようなブランドであればいざ知らず、地域に根ざし、地域の価値をビジネスにつなげる里山資本主義的アプローチで事業を運営されるているブランドであればあるほど、マーケティングの実践にあたりこの「想いの共有」のプロセスが重要だと感じます。
・「物」を売らず「物語」を売る
瀬戸内ジャムズガーデンは瀬戸内海に浮かぶ小さな島「周防大島」にあります。
私が初めて周防大島を訪れた際に驚いたのはその海の綺麗さ、豊富な海産物、そして四季折々の草木の美しさです。
一方、その美しい自然とは裏腹に、耕作放棄地を再開墾し、柑橘を1本づつ丁寧に育て上げる、店主松嶋さんの苦労と自然の厳しさにも驚かされたのです。
瀬戸内ジャムズガーデンはもちろん「ジャム屋」であり、ジャムを売っています。
そして、併設のカフェでは、美味しいコーヒーにスイーツを提供しています。このカフェは食べログ評価が3.5を超えることが普通で、山口県のカフェランキング第1位の常連です。
しかし、お客様の声に耳を傾けると、ジャムやスイーツのおいしさだけでなく、店主松嶋さんの姿勢にも共感し、「応援」する気持ちをもって頂いていることに気が付きます。
絶品ジャムの背後にある探求心、栽培する果物へのこだわり、落葉をそのまま肥料として集め育てるブルーベリー、地域の皆様と行う浜の掃除、多くの大学からインターンを受け入れる教育支援・・、つまり周防大島を持続可能な地域として次代へつなぎ、日本に新たな豊かさの定義を示す。
このジャムズガーデンの「姿勢」というものと、その背後にある「物語」を正しくお客様にお伝えすることが、ひとつひとつのものを売ることより中長期では重要なことに気が付かされます。
瀬戸内ジャムズガーデンはジャムを売っているのではなく、「物語」を売っているのです。
里山マーケティングの重要なキーワードとなります。
・「質」より「スピード」
私は、マーケティング戦略面、特にWEBマーケティングが専門で重点的にお手伝いをさせて頂いています。
一般的には、簡単なホームページを作るだけでも何十万円も請求されてしまうのが、この世界です。特に地方においては、デジタル関連の仕事に明るい人材が少ないことも背景にあると思います。
一方で、スモールビジネスのオーナーさんにとって、売れるかどうかわからない販路に何十万円も投資することはどう考えても合理性がありません。
そこで、松嶋さんと生み出したのが スピード重視のマーケティングです。
お手伝いした当初は、松嶋さんのアイデアをホームページの形にするのは制作会社さんの仕事でした。アイデアを根掘り葉掘り説明し、形になるのは1週間後・・、それも思っていたのとは少し違う・・といった、ごく普通のマーケティングでした。
しかし、つぶさに瀬戸内ジャムズガーデンの事業を観察してみると、アイデアを形にするには「鮮度」が重要だということに気が付かされます。なぜか?
「自然が相手」だから
です。
その日に工房に届く、果物・産品・お野菜はその日になってみないとわかりません。そして、その果物・お野菜の味によって、その日に煮込むジャムが変わるのです。
そして、そここそが、瀬戸内ジャムズガーデンの価値でもあるのです。
今では、松嶋さんがその日に煮込んだジャムを翌日にはホームページ上でプロモーションを開始し、ECサイトで販売を開始する、といったことが可能になりました。
松嶋さんから連絡を受け次第、戦略面からライティング・簡単なデザインも私で行ってしまい、そのまま形にしてしまいます。
きちんと勉強されたデザイナーさんの方が「質」が高いのは間違いありません。
しかし、里山マーケティングにおいては、「スピード」もまた、大事なのです。
そして、これからのこと
瀬戸内ジャムズガーデンとの出会いは、控え目に言って、私の人生を変えました。
「進化する里山資本主義」の中でも触れられている通り、これからの日本は里山資本主義的ビジネスと関係人口で地域経済が蘇らせていく必要があると実感しています。
マネー資本主義にどっぷりつかった自分の人生を顧みて、持続可能な新たな日本を夢想し、今私にできることを愚直に続けていきたいと考えています。
これからも、より多くの方とつながり、ご支援を頂きながら『効くWEBマーケティング』で地域のビジネスのお手伝いを続けていきたいと思います。
最後まで、読んでいただきありがとうございました!
いつかどこかで、お会いできることを楽しみに。では。
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